2012年07月25日
1.ドイツ版、国民的アイドルは誰ですの? -ドイツ語習い始め編-
私が、なんとなくドイツにいきたいなと思って、―いやいやもう少し詳しく言うと、最初の入り口はドイツ美術だったのです。というのもドイツと日本の近代の歴史を比べると、戦後という歴史上の過程は似ているのに、ドイツの現代美術には社会批判的なものがなぜより多く入っているのだろう?と不思議に思っていました。だからこそなんとなくドイツって何なんだろう?と思って―日本でドイツ語の勉強を始めたのは、90年代後半のことでした。
2000年にドイツ・ベルリンに渡り、当時はドイツの美術を探求したいと思っていたのですが、今ではドイツに日本の現代作家を紹介しつつ、ギャラリーなどの展示スペースと作家の間を取り持つといったエージェント、コーディネート業をしています。
ドイツでの生活もえっちらおっちらですが、どうにか形になってきたかなと。
以前では考えられないぐらい、ドイツ語との生活が切り離せなくなっています。といっても、やはり私はドイツ人ではないので、100%のドイツ語はわからず、「???」の時もかなりあります。
それでも、現地でその土地になじむと、「ドイツ人とは?」がだんだんわかってくるような気になっています。どんな感じかというと、これは残念ながら「日本人とは?」という問いと同じように一言では言い表せません。それに、多くの感覚を含んでいるので(私の感覚が間違っていることもあるかも)、はっきりと「これがドイツ人だ!」と言うのは難しいのです。そこで、ドイツのメディアを通して伝えられるドイツ的スターに焦点をあて(といっても私の主観でピックアップ)、彼らが一般ピープルの間で人気を博している“なぞ”に迫ることで、「ドイツ人とは?」というものに迫りたいと思っています。
ドイツ語を習い始めた時にわりとよく聞いていたラジオのドイツ語講座がありました。
1年間通しの初級を聞いても、聞き流すのみであまり身に付かず、2年間か3年間ぐらい初級をやっていたかと思います。
その番組半ばにいつも休憩コーナーがありドイツの音楽が流れていたのですが、そこでよくかかっていたのが、ネーナの「99 Luftballon」 (「99ルフトバルーン」。日本語では「ロックバルーンは99」)。
この曲は、80年代にドイツで、そしてのちに世界的にもヒットした曲。ドイツ語で歌われた歌でこれほどまでヒットしたのはめずらしく、日本でも有名な曲となったのです。けれども、解説者が「では今日はこれを聴いていただきましょう。ネーナの99フルトバルーン!」というと、私はまたか・・・・・・と思ったものです。
というのはドイツ語の歌詞のある“今の歌”といえば、そのネーナの「ロックバルーンは99」しか紹介されることなく(私の記憶が間違っていたらごめんなさい)、そのほかにはオペラ「魔王」からの選曲だったり、シューベルトやブラームスの子守唄だったり。
この曲は、なんとなく感覚で“いま”のものじゃないなとわかったし、ネーナのこの曲しか流行ってないこの国って、何なんだろうか・・・・・・。
つまり。あまり流行を受け付けず、古いものを大事にする国柄っていうのは聞いているし、その頑固さはドイツの製品を見るとなんとなく伝わってくるのだけれど、80年代のネーナの曲しか流行っていないといわれると、いったいこの国ってどれだけお固いのだろうか???と初心者ながらに思ったものでした。
実際、ネーナのこの曲はさすがに懐メロのようなもので、ドイツ人にとってもそんなにしょっちゅう歌うという感覚ではないのですが、たまに機会があればカラオケで歌うよ、といった感じです。また、2002年には同じ曲をリメイクしたバージョンでカムバックを果たしているので、私がドイツに来た頃は、ドイツの中では人気が再来したといったところでした。
では、今はどのようなミュージシャンがアイドル的存在なのか? ドイツ人にとってのジャニーズであったり、AKB48の存在はあったりするのか? う~ん、これはかなり難しい質問なのです。
この答えはさておいて、今、ドイツでポップアイドルミュージシャンといえばこの人かな、という人がいます。そんな現代的ドイツアイドルの彼女を、次回のコラムでご紹介できればと思います。
≫続き(第2回)を読む
◆このコラムの他の記事を読む
(1)ドイツ版、国民的アイドルは誰ですの?

≫その1
≫その2
≫その3
(2)「借金からの脱出」借金解決請負人-ペーター・ツヴィーガート

≫その1
≫その2
≫その3
(3)ドイツの人気テレビ番組「ほんとうにほんとうの人生」

≫その1
≫その2
≫その3
(4)売れないレストラン再建!独TV番組「レストランテスター」
≫その1
≫その2
≫その3
(5)深夜のトーク番組「ドミアン」 ハロー、こちらドミアン!

≫その1
≫その2
≫その3
(6)黒髪長身のスーパー教育アドバイザーが家庭訪問。「スーパーナニー」

≫その1
≫その2
≫その3
(7)政治家シリーズ

≫「ドイツの母」フォン・デア・ライエン氏

≫「ドイツの右腕」ヴォルフガング・ショイブレ氏

≫「ドイツの首相」アンゲラ・メルケル氏
◆このコラムの著者、河村恵理さんのお話を、コラム「インタビュー・ノート」にて掲載しています。
河村さんのドイツでのお仕事、現在に至るまでの経緯などが語られています。
・前編 http://interview.eshizuoka.jp/e953874.html
・中編 http://interview.eshizuoka.jp/e956661.html
・後編 http://interview.eshizuoka.jp/e960315.html
Posted by eしずおかコラム at 11:55